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いつもの朝に 

いつもの朝に上  いつもの朝に下

いつもの朝に 上・下

著者:今邑 彩
価格:(上)660円・(下)680円
出版社:集英社(集英社文庫)


読み終わった後にぼーっとしちゃいました。

 
 
土曜日の仙台・鈍行列車の旅に持っていき、列車の中で読みました。

この本を買う決め手は作者さんのあとがきでした。
「この話を作り話と思われるかもしれませんが、実は――――作り話です」
というような文句から始まるあとがきが面白いなぁと思ったことがきっかけでした。

帯の宣伝文句の「カインとアベル」はあまり考えず、そして作者さんのあとがきにもある「エデンの東」も考えずに読みましたが、とてもいい話でした。現代のカインとアベルなんて安っぽい宣伝はなしだと思います、集英社の編集さん。

主人公は2人の兄弟とその母。
画家である母は日向沙羅(さら)、その2人の息子は、兄の桐人(きりひと)と弟の優太(ゆうた)。
サラの女王、キリスト、ユダと、聖書を連想させるこの名前が、物語の軸。
兄弟の父は線路に落ちた子供を助けたために自らが犠牲になって他界してしまい、母一人息子二人の3人暮らし。
兄の桐人は、学校内にファンクラブまであるほど容姿端麗で文武両道な完璧人間、弟の優太はチビでニキビで落ちこぼれと兄とは正反対。ある日、ふとした偶然から、弟・優太の幼い頃からお気に入りのテディベアのお腹から「優太へ」という父からの手紙を見つけることから物語は大きく展開していきます。

兄弟の葛藤、親子の葛藤、物語は様々な苦しみ(それこそ背負う十字架の重み)が次々と出てきて、一旦走り出したら最後までノンストップで怒涛に走り抜けるのですが、この兄弟の母が素晴らしいのです。彼らの背負わされる十字架のなんと重いことか。でも、母はそれ以上の十字架を背負っていて、それだからこそ、兄弟を受け止めることが出来るのです。画家である母は、芸術家にありがちな、世間の母親像とは少しずれた感覚の持ち主なのですが、無邪気でかわいらしい印象。ですが、この母がしなやかに強い。したたかじゃないんです。しなやかなの。ここ、重要です。

あまり話しの筋を書いてしまうと面白くないので詳細は割愛しますが、この父の手紙の発見まではありがちなのです。が、しかし、この手紙がろくでもないシロモノで、その先にはとんでもないドラマが待ち受けていて、思いもかけぬ方向に息つく間もなく進むものですから、先が気になってページをめくらずにはいられなくなります。

そして、ラストシーンのなんと崇高なこと。
ラストシーンのページは何度も何度も復読してしまい、10分ぐらいはそのページを開きっぱなしだったと思います。そして、読後は、ブラームスの子守唄が頭の中を流れ、ぼーっとしてしまいました。
「そうか、そうだったんだね、桐人・・・」
って、思わずつぶやいてしまいました。

このラストシーンは、タイムトラベラーズ・ワイフ以来の、言葉にできない胸がつまるシーンでした。

あとがきにありましたが、文庫化にあたりかなり書き直しをされたそうなので(天童荒太さんの家族狩りのようだ・・・)、ハードカバーで読まれた方も、是非、文庫版も読んでみてください。

浅田次郎作品とは違って万人受けする作品ではなく、それこそ天童荒太作品のような読み手を選んでしまうたぐいの作品だとは思うのですが、個人的には素晴らしい作品だと思います。
私がここで紹介している本を面白いと思っていただける方には強くおすすめします。
 
 
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[2009/03/30 23:42] 書籍 | TB(0) | CM(0)

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