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さぶ 

さぶ


さぶ

著者:山本 周五郎
価格:660円(税込)
出版社:新潮文庫

オススメ度:★★★★☆(時代小説を超えた人間の話)


羊山公園に行く秩父鉄道でガタガタゆられつつ読みました。
話の思わぬ深い展開におもわず涙してしまう場面もあったり。
時代小説ではありますが、現代に十分通じる話です。
人間の生き方を、そして生かされ方を魅せてくれる1冊です。
 
 

 
表具と経師の「芳古堂(ほうこどう)」に奉公する栄二とさぶの物語。
一読すると、そのほとんどが栄二の挫折と心の成長の物語で、主役は栄二なのですが、やはりこの本のタイトルは「さぶ」でよいのです。

栄二は矜持が高くて男前、しかも仕事も器用にこなすさぶの兄貴分。一方、さぶはちびで不器用でのろまで小言をくらってばかり。落ち込むさぶを励ます栄二。いつか奉公を終え、二人で店を持とうというささやかな夢を語り合って日々をすごす二人。ところが、とある事件から栄二は芳古堂を追い出されてしまいます。
人生のどん底で苦しむ栄二とそれをひたすら見守るさぶ。

懸命に奉公してきたにもかかわらず、疑われ、自分を拒絶された栄二は世の中に対して斜に構えてしまうのですが、物語はここから大きく動き出します。
不器用でのろまだけれど、栄二を信じてひたすら見守るさぶの純粋さや、口は悪いけれど心根の優しい寄場(無宿者・犯罪者の収容所)の人々、二人がひいきにしている飲み屋「すみよし」の看板娘で頭がきれるおのぶちゃん、様々な人に見守られ、かつ支えられ、栄二に今までの生活では気づかなかったものにたいする気づきが訪れるシーンまであっという間に読みきれます。
辛いというよりは、栄二の立場を思うと心が痛む話で、決して楽しくてワクワクするような話ではないし、やっぱり物語が終わっても世知辛い後味なのだけれども、でも、人って捨てたもんじゃないとどこかで思えるような話になってます。

個人的には栄二には「すみよし」のおのぶちゃん(のぶ公)と一緒になってほしかったんだけどなー。
ここが一緒にならないのがまたにくいんだよね。
物語の最初におのぶちゃんが栄二とさぶに傘を差し出すシーンがあって、二人はどちらともおのぶちゃんの差し出した傘には入らないのだけれど、そういうことなんだよね。

栄二が苦しむことになる事件の真相はどんでん返し的な描かれかたをしてますが、勘のよい方であれば、真相は話の途中でわかるのではないでしょうか。
私としてはどんでん返しシーンより、
「おらだよ、ここをあけてくんな、さぶだよ」
というさぶのセリフでの物語の幕引きが印象的でした。
1つの舞台を観ているような感覚。

栄二が寄場で出会い、父親のような感覚を覚える(栄二は天外孤独な身の上なのです)与平さんの言葉がとても身につまされたのでご紹介。

「それは自分でわかるだろう、あの人は暇を欠いて、あのとおりしげしげとみまいに来てくれる、どんなかかわりの人か知らないが、ちょっとやそっとの気持ちでできることじゃあないよ、栄さんは頭がいいから、私の云うことなんぞ可笑しくもないだろうが、どんなに賢くっても、にんげん自分の背中を見ることはできないんだからね」

時代物はちょっと・・・と思われる方も是非手に取ってみていただければと思います。
今のような「基本、他人は警戒してかかりなさい」寄りな世の中だからこそ読んでほしいな。
 
 
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[2010/05/07 23:53] 書籍 | TB(0) | CM(0)

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