スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[--/--/-- --:--] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

クリスピン 

クリスピン

クリスピン

著者:アヴィ(金原瑞人 訳)
価格:1,260円(税込)
出版社:求龍堂

オススメ度 ★★★★☆(4.5 学校の図書館に並んでいてほしい一冊)


時代は14世紀のイギリス。民衆が自由を求めて立ち上がりつつある封建社会。
主人公は、唯一の肉親である母親アスタを失い、村を追われ、自由を、生きる場所を求めて旅立つ自由どころか名前すらないアスタの息子。
彼に与えられた唯一の持ち物、母アスタの形見である文字の彫られた十字架を胸に旅立つものの、その前途は困難の連続。
幸い「熊」と名乗るジャグラーに出会い助けられるが、なにやら「熊」にも秘密がある様子。
 
 
図書館でパラパラっとめくったら、先が気になってそのまま借りてきました。
吸引力のある一冊。

物語や登場人物は実にわかりやすいのですが、描かれていることが奥深くて哲学的。
その哲学的な部分を理屈で伝えようとするわけではなく、感覚的に感じることができると思います。
物語に入ってふと気がついたらすっかり主人公目線。
不思議と読み出したら先を読まずにはいられない。

絶望の淵にあった主人公が、少し美味しいものを口にしただけで「生きたい」という気持ちが少しずつ沸いてきて、そこから明日のことを考えるようになったのが、いつの間にか「未来」についてまでも考えるようになったりして、地味で地道なのですが、その過程を自然に感じられるのがこの物語の素晴らしいところ。
主人公の食べる肉やパンのおいしさ、裏切られることへの恐怖、常に追われ続けることの不自由さ、これらの感覚が自分のことのように感じられ、まるで主人公に与えられた試練や旅を疑似体験している感覚。そして生きることそのものがこういったシンプルな感覚の上に形成されていることに改めて気づかされるのです。

この物語の主軸は明らかに「自由」なのですが、それなだけに読後は複雑でした。

私たちの世代もやや未来に希望を感じることが難しくなりつつあるけれども、それなだけに、はたして「自由」とはなんぞやと考えさせられてしまうのです。
私たちは自由に生きているつもりで実は自由とは程遠い生活をしているのかもしれない。
主人公と違って、今日食べるものにも困らない生活をしているのに。

今を生きる若者に是非とも読んで、そして感じてほしい物語。
 
スポンサーサイト

[2010/07/15 23:08] 書籍 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://minorin.blog2.fc2.com/tb.php/1576-0fcb0950


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。