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神去なあなあ日常 

神去なあなあ日常

神去(かむさり)なあなあ日常

著者:三浦しをん
価格:1,575円(税込)
出版社:徳間書店

オススメ度:★★★★☆(突然林業世界に放り込まれたハマっ子が成長する話)


まず「変なタイトルだなぁ」という第一印象。まるで意味不明。
なのですが、このタイトルの意味は、物語の冒頭ですぐわかります。

主人公は横浜育ちの勇気くん、18歳。高校を卒業を控え、進学はせずバイト暮らしでもしようかと思っていたその矢先に、担任と親(特に母親)と国の助成金による「緑の雇用制度」の策により、ある日突然、なかば強制的に身ひとつで三重県の神去村へ向かうことに。手渡されたのは、存在感の薄い父親からの「餞別」と書いてある封筒に入った現金3万円。

携帯も通じない山奥で、根性はそんなにないけれど性格はまっすぐな横浜育ちの勇気くんが1年をどんなふうに過ごしてきたのかかが、勇気くん目線で語られる物語。
 
 
 
三浦しをんさんの描く物語って、まるで漫画をそのまま文字にしたような面白さがあって、これはこれで1つのジャンルなのではなかろうかと思わされます。有川浩さんあたりも同じような感じかなぁと。

この物語も登場するキャラクターはもれなく強烈で、物語の最初から最後まで頭の中で生き生きと動き回ります。林業を体験したわけでもないのに、物語の舞台が脳裏にぱーっと広がるの。

空から容赦なく降っては一面を黄金色の世界にしてしまうスギ花粉を某有名アニメ映画の腐海に重ねたりのしをん節(?)も炸裂で、物語はところどころでインパクトがありつつクライマックスの神去村48年に一度のオオヤマヅミさんの祭りまで一気に読ませます。

勇気を迎え入れる中村班のメンバーは、

*冷静新着なイケメンリーダー 中村清一(大山持ちのおやかたさん)
*神去に生まれるべくして生まれた天才野生児 飯田与喜
*神隠しから生還、山の神に愛される男 田辺巌
*長年の経験から危機察知にたけるグループ最古参 小山三郎
*中村班の一員として山で仕事をする誇り高き犬 飯田ノコ

このメンバーに主人公の勇気くんが加わるわけですが、彼に接する周囲の距離感がなんとも絶妙。
勇気くんが神去の山を受け入れていく行程の気持ちの変化は、読み手側も思わず嬉しくなってしまうのよね。

それにしても、清一さんいわく「斜陽産業かつ人材不足の林業業界」で日々仕事に従事される方々には頭が下がります。物語の中の巌さんの
「日本の森林で、人間の手が入っとらん場所なんかないで。木を切り、木を使い、木を植えつづけて、ちゃんと山を手入れする。それが大事なんや。俺たちの仕事や」(67ページより抜粋)
といセリフが印象的。

それこそ、何十年、何百年単位で育つ樹木ですから、何十年、何百年というスパンを見据えて仕事をしているわけです。今日植えたこの苗木が伐倒される頃には生きてないかもしれないし、今、伐倒している立派に育った大木は先代が汗水流して植えた苗かもしれない。今は私の周囲ではこういう仕事って少なくなったなぁとしみじみと実感させられました。
時を超えたグローバルさは都会の仕事ではあまりないし、そういった世界と距離がありすぎて、たとえば、今朝の朝ごはんのお米が私の口に入るまでにどれぐらいの人の手間隙がかかっているのだろうなど改めて考えさせられました。

枝打ちや地ごしらえにしても、無駄がなくて先人からの知恵に関心させられます。
日本人ってすごい!

ちなみに、登場人物の中で個人的に一番好きなのは、与喜の祖母の繁(しげ)ばあちゃん。
与喜の家に下宿することになる勇気くんいわく「しわくちゃで饅頭の妖怪」または「ミイラの置物」。
でも、この繁ばあちゃん、一番必要な時に必要な言葉をかけてくれるのです。
勇気くんがもらった初ボーナス(というより寸志)をまず仏壇におそなえして、むにゃむにゃ言って、木魚をぽくぽく鳴らし、1万円を両替して欲しいという勇気くんに「山の仕事をようけ頑張っとるでな」と500円玉を21枚握らせる、こんな繁ばあちゃんが出てくるシーンには何度も懐かしさをおぼえました。

林業業界に興味のない方でも楽しめますので、目にしたら手にとっていただきたいなぁと思います。
タイトルにある「なあなあ」とはオールマイティーで便利な神去弁なのですが、この世知辛い世の中だからこそ「なあなあ」精神をあえて意識したいなぁなんて思えてしょうがないのでした。
 
 
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[2010/11/02 23:19] 書籍 | TB(0) | CM(0)

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