FC2ブログ













禁じられた約束 

the promise
禁じられた約束

著者:ロバート・ウェストール
価格:1,470円(税込)
出版社:徳間書店


いやー、なんともはや、とんでもない1冊。
ロバート・ウェストールって性格悪かったであろう気がする・・・・(ため息)って、つい思わず感じてしまうことうけあいです。

しかし、非常に良いタイトルです。若かりし頃に読まれた記憶のあるみなさんにも、いい大人になってもう一度読んでほしい。
特に、大切な人を亡くした経験をされた方には、読んでいただきたいと切に願う1冊です。
 
 
正直な読後直後の感想は
「こ、このじいさん(著者)は・・・・」
でした。

舞台は1939年のイギリス。
物語は14歳のグラマースクールの優等生男子学生ボブ(労働者の息子)がクラスメイトのヴァレリー(資本家の娘)のお家の夕食に招待されるところからゆるやかに動き出します。
虚弱体質のため外出も禁止され、体調を崩しては学校をお休みするヴァレリーにねだられ、学校のことや街のことをヴァレリーに活き活きと語るボブ。2人の間には秘密の時間が積み重なってゆきます。
虚弱体質でおしゃまでチャーミングなヴァレリーに振り回されっぱなしのボブ。

ある日、ヴァレリーはボブにお願いをします。
「いつか私が迷子になったら、かならず見つけてね。」
ヴァレリーの病気を詳しく知らないボブはそうするよ、とヴァレリーに約束を、決してしてはならない約束をしてしまいます。

ヴァレリーの病気は深刻で、彼女が15歳になって間もなく、彼女は天に召されます。
(ここまでは知ってしまってもさしさわりないと勝手に判断したため、書いてしまいます。)

「誰かが死ぬと人は誰かをさがしはじめる。それが自分にとって大切な人ならば。ばかげて聞こえるかもしれないが、ほんとうのことだ。」(145ページ)
「幽霊がこわいものだなんて、でたらめもいいところだ。大切なだれかを亡くした人なら、幽霊を怖がったりはしない。特別な人を亡くすと、むしろ幽霊が現れてくれたらと願うものだ。お願いだから、幽霊でもいいから、もう一度会えますように。取りついてくれてもかまわないから・・・・と。」(148ページ)

いずれも大好きなヴァレリーの死に直面した14歳のボブが純粋に感じたことです。
ボブの父親はたいへん善良でたくましいお父さんで、そんな息子をそっと支えます。

また、ボブの父方の祖母も素晴らしい人で、ボブのお父さんを出産後、立て続けに10人流産したという戦車なみのたくましさをもつ人なのですがボブとの会話から一部を引用します。

「気の毒にねえ」祖母は言って、ため息をついた。「ひとり子を亡くしたんじゃ、立ち直るのはたいへんだね」
大変だね、と祖母は言った。立ち直れない、とは言わなかった。祖母がそう言うと、もう1つ大きな山を越えればいいんだ、というふうに聞こえた。いつかはこえられる、と希望がわいた。(154ページ)


そして、ボブは祖母と話した後、ヴァレリーを亡くしたヴァレリーのご両親に招待された夕食へと向かうのですが、ヴァレリーのお父さんとボブがヴァレリーについて語るほんの2ページにもみたない風景は涙なしでは読むことはできず、冒頭のプロローグで出てきた死んだ妻のお墓に毎日語りかけるおじいさんのシーンを彷彿とさせるボブの姿にもまた涙で、ここまでは普通の話なのですが―――


ところがどっこい、ここからがロバート・ウェストールの本領発揮です。
今までの美しい世界が一変し、事態は急転直下。思いもかけぬ方向へまっしぐら。
え?えぇ?えぇーーーーーーっ??という感じです。

あ、愛は墓よりも強いって・・・・・
「決してしてはならぬ約束」って・・・・

参りました。急転直下後の展開が気になる方は是非読んでみてください。

全部読み終えれば、よくよく考えると、こういうことだって納得できます。

ヴァレリーの父親も善良かつ真摯で、ボブの父親と身分は違えど同じぐらいいい人ですが、そのヴァレリーの父親が言う
「いいか、相手が必要としているものを与えるんだ。ほしがっているものじゃなく、な。」(237ページ)
このセリフにつきます。

児童書だと思って読んではいけません。いい年した大人にこそ必要な1冊です。
若き頃にセンスでこの作品を感じたみなさんも、年を重ねた今、今度は理論でこの作品を感じてみませんか?
 
スポンサーサイト




[2008/01/22 00:01] 書籍 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://minorin.blog2.fc2.com/tb.php/826-a1a9a857