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戦場のニーナ 

戦場のニーナ
戦場のニーナ

著者:なかにし礼
価格1,890円(税込)
出版社:講談社


やっと図書館で借りることができました。
この作品に興味がある方は、是非文庫になってからどうぞ。
ハードカバーのお値段はちょっと高い気がします。
米原万里さんの「オリガ・モリソヴナの反語法」に比べると、かなりライトな感覚で読み進めることができると思います。
 
主人公はタイトルにもなっている「ニーナ」。
ニーナ・ペトローヴナ・フロンティンスカヤ。
牡丹江(ぼたんこう/ ムータンチャン)市の戦場で、たった一人生き残った日本人。
その生い立ちに、様々な人の愛情と優しさ、そして様々な人の残酷さや当時のロシアという国の厳しさが交錯する中で、彼女自身が「自分のルーツ」「故郷」を探してゆく物語。
この主人公ニーナのモデルは小説のモデルとなったのは2004年、残留孤児として一時帰国したニーナ・ポリャンスカヤさん。

戦場の土に埋もれて泣いていた彼女の声をかすかに耳にし、土の中のわずかな隙間で奇跡的に命をつなぐ彼女を救出するのは、心優しきボルコフ大尉。彼の部下の提案で「チェホフ」の「かもめ」にちなんで、幼い日本人の女の子に「ニーナ」という名前が与えられ、野戦病院にニーナを搬送したボルコフ大尉は、流れ弾で足を負傷した第一赤旗軍の副司令官閣下ムラビヨフ中将に、ニーナを発見した場所にあった1枚の写真とともにニーナをたくします。

ニーナは一般家庭に引き取られたり、孤児院での生活を余儀なくされたりしますが、時折訪れるムラビヨフやしっかりものの友人に支えられて幼少期を過ごし、19歳を迎え、劇場のコレペティ(コレペティードル Korrepetitor 劇場のダンサーの練習時のピアノ伴奏)を勤めるようになり、彼女の人生は平穏に過ぎ去るかに思えたのですが・・・・・。

この世の酸いも甘いも経験した彼女が、自分に正直に求めた最後で唯一のものが「故郷」。コレペティ仲間でしっかりものの親友アンナが、そんな彼女にとあるニュースを知らせ、老齢のニーナに「自分のルーツ」を知ることができるかもしれない千載一遇のチャンスがもたらされるところから物語りは始まります。

彼女はなぜこんなにも「自分のルーツ」を、「故郷」を求めてやまなかったのか。



オリガ・モリゾウナの時も感じたおぼえがありますが、読後は「共産圏ロシア」のイメージが少し違ったものになると思います。
それどころか、共産圏のロシアでも民主圏の日本でも「お役所」仕事のスタンスはまったくかわりません。
ニーナはこの物語の中で、ボルコフ大尉に助けられた戦場を含め、その人生で3回も命の危機を迎えますが、まさに「今、ここにいることが奇跡的」な偶然に何度も救われます。過酷な現実もありましたが、それ以上に彼女の魂を救ってくれる慈愛に彼女は幸運にも恵まれ、そんな彼女の魂の最後の救いが「自分のルーツ」。

物語の中には、どうしようもなくエゴイストなユダヤ人が登場し、彼女は彼と恋に落ちるくだりもあったりしますが、この恋についてはもうちょっとサラっとか、もしくは、マーラーに絡めるならもうちょっと書き方があったかなぁ・・・・・と。これでは、彼の位置づけがエゴイストなだけのユダヤ野郎になってしまう危険性大です。しかも最後までどうしようもないやつなんて、ニーナが「自分のルーツ」を知って感激に胸が震える場面において水どころか廃油を注された気分になります。ニーナには申し訳ないが、読者の立場からすると、もう二度と彼にはお会いしたくなかった・・・・・(涙)
そして、そんなヤツに私の好きなマーラーについて語って(演奏もして)ほしくはなかった・・・・・個人的に少し残念でした。(同じように思う人、いると思うんですけどね・・・・・私だけだろうか。)
でも、人間の男性とはおおざっぱなくくりではエゴイストなのかもしれない。
私ぐらいのいい年齢になってくると、そんなエゴイストぶりに付き合うことすら疲れちゃうんですけどね。自作自演で勝手に自分劇場をやってる分にはいいんですけど。
だから、ずっと恋をしていることができる女性のエネルギーは凄いな~と心底思います。おっと、話が思わぬ方向へそれました。
エゴイストな男性が好みの方にも、この本はたいへんおすすめです。

このように(どのようにだ!)、人物設定もわかりやすくなっておりますので、行きつ戻りつせず、すらりと読むことができます。
通勤電車でも苦にならない文庫版が発売されてから是非どうぞ。

それにしても、なかにし礼のオフィシャルサイトのメール送信ボタンは、なぜ「ウジャドの目」なのだろう。全体的にちょっとあやしい雰囲気な印象はいなめない・・・・・(汗)
 
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[2008/02/17 12:03] 書籍 | TB(0) | CM(0)

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