スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[--/--/-- --:--] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

泣き虫ハァちゃん 

泣き虫ハァちゃん
泣き虫ハァちゃん

著者:河合隼雄
価格:1,365円(税込)
出版社:新潮社


ユング派分析家の臨床心理学者、河合隼雄先生の遺作です。
とてもいい本です。出版社が新潮社さんなので、必ず文庫にしてくれると信じています。新潮文庫で発刊された折には、みなさん、是非手にとってみてください。
 
 
「ハァちゃん」というのは、おそらく河合先生の幼少時代の姿なのだと思います。
城山家の男の子六人兄弟の五男で、引っ込み思案で純粋などこにでもいる男の子。
このハァちゃんの成長期を描いた物語となっています。

ある日、学校の先生が、「はるか昔、地球上には人間はおらず、恐竜なんて凄い動物がいる」というお話を生徒に聞かせるのですが、その話の最後は、人間の祖先は猿だったということになり、それを聞いたハァちゃんが「僕らの先祖が猿?」とあれこれ考えているうちに先生に質問します。

「あの、先生。ほんならアマテラスオオミカミは、日本人の中で一番猿に近かったんですか?」
「馬鹿な!何を言っている。城山!後ろに立っとれ。そ、そんなことを言うと、憲兵が来て、不敬罪でつかまえられるぞ」
先生は激怒され、ハァちゃんは後ろに立たされることになった。
(「泣き虫ハァちゃん」141-142ページ)

先生をからかっているわけではなく、ハァちゃんは今まで教わったことから、自然にこういった疑問がわいてくるユニークな発想の持ち主でもあります。

心が優しいだけに涙腺がゆるい泣き虫なハァちゃん。
戦争という時代背景により「男の子は泣いてはいけない」という風潮の中、ハァちゃんは成長の過程で何度も涙を流しますが、どうしても出てきてしょうがない涙ばかり。
悲しい涙、嬉しい涙、ごめんなさいの涙、ありがとうの涙、感激の涙、安堵の涙。
ハァちゃんの涙は、言葉に出来ないあらゆる感情の1つの結晶体なのです。
それが河合先生調で凄くわかりやすく書いてあるわけです。

泣きたくなるほどの不安
なきたくなるほどの後悔
泣きたくなるほど嬉しいこと
泣きたくなるほどありがたいこと

こういったことの経験が心の豊かさや大きさの糧となることを、改めて気づかされます。

ハァちゃんのお母さんはハァちゃんに言葉をかけます。
「ほんまに悲しいときは、男の子も、泣いてもいいんよ。」

泣くだけでスっとすることって、ありますよね。

今の時代、目をそむけてしまいたくなるような不安や出来事が多くて、でも、それらに目をつぶってしまうと、泣きたくなるほど嬉しいことさえも見えなくなってしまうのではと思うと同時に、泣き場所さえもなく泣き方さえも知らない、そんな涙難民が多いのかなぁ・・・・・なんていうことも考えさせられてしまいました。

みなさんは、最近、嬉し涙や悲し涙、心の結晶の一粒を流していますか?
涙難民になっていませんか?
悲しいとき、嬉しいとき、時には泣いちゃいましょうよ。



巻末の

「来てくれる 河合隼雄さんに」 谷川 俊太郎

私が本当に疲れて
生きることに疲れきって
空からも木からも人からも
目を逸らすとき
あなたが来てくれる
いつもと同じ何食わぬ顔で
駄洒落をポケットに隠して(「泣き虫ハァちゃん」184ページ)

ではじまる谷川俊太郎さんの詩の一文一字に河合先生のお人柄全てが凝縮されてるような気がしました。非常に良い詩ですので、詩の続きは是非とも本書でご覧ください。



岡田知子さんの挿絵も、トットちゃんの時のいわさきちひろさんの挿絵のごとくに、本に活き活きとした命を与えています。


最後に、河合隼雄先生のお人柄も本も大好きでした。
これからも、辛いときや迷ったときに必ず先生の本をめくるでしょう。
たくさんの言葉をくださった先生のご冥福をここに心からお祈りいたします。
 
スポンサーサイト

[2008/03/12 23:31] 書籍 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://minorin.blog2.fc2.com/tb.php/891-54c2ab03


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。