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まだ遠い光 -家族狩り-第五部 

家族狩り5まだ遠い光 -家族狩り-第五部

著者:天童荒太
価格:700円(税込)
出版社:新潮社(新潮文庫)


いよいよ、長かった5部作の旅が終わりを迎えました。
あっという間でした。
「小説を読む上で、登場人物の感情をともに生きる時間があれば、それはもう経験と言えるものだろうと思います。」
著者はあとがきでこう書いていますが、いい経験をさせてもらったと純粋にそう思います。
 
 
著者は続けてこう書いてます。
「このような長い物語の場合、旅をすることにも似ているのではないでしょうか。私自身が、ほかの方の長編を読むとき、登場人物たちと旅をしている感覚をおぼえるものですから、このように書くのですが、今回の長い旅の終わりに、どんな風景が広がったでしょう。
 本から顔を上げ、人や社会や世界を見たとき、目に入ってくる風景が、旅に出る前と変わっていたなら、送り手として幸いに感じます。」


何かが劇的に変わるわけではないのですが、悲しい事件が多発するすさんだ世の中への視線がわずかに変わると思います。
この最終巻の巻頭には、各巻巻頭に登場する「思春期心の悩み電話相談」は登場しません。
それがいったいなぜなのか、なにをしめしているのかは、読んでいただければわかると思います。そしてこの構成が5部作を構成する上で絶妙な効果を与えており、そしてその先の展開ともリンクしています。(これ以上は言えません!)
5巻目の最初のページをめくって"思春期心の悩み電話相談"の「よかったら話してみてくださる?」がないことに、ここまで読んだ方の誰しもが「え?」という衝撃を受けると思います。

何もかもがうまくいくわけではなく、それぞれがそれぞれに痛みを抱えながらも、一歩を踏み出すまでが描かれており、生きるということは9割がたが苦しいことかもしれないけれども、それでも生きていることの喜びや尊さが少しだけ垣間見えるようなラストになっています。

まさに「家族」がテーマの五部作でしたが、この五部作をもしも読まれるならば、家族を考えるというよりは、家族を感じてほしいと個人的には思います。家族の形は家族の数だけあって、ニュースで報道される事件をわが身に感じることは難しいけれども、この作品の主人公達との時間はそれを感じさせてくれると思うから。

それと、もう1つ、この最終巻の最後には参考文献がずら~っと記されていますが、それらにも著者の真摯な姿勢が感じられます。

この最終巻のあとがきの最後に著者が伝えたかったことがシンプルにあっさりと記されてますので、どうか本編だけでなくあとがきまで目を通していただけたら嬉しいです。

この本と、著者と出会うことが出来本当に良かった―――長い旅の果てにしみじみとそう感じずにはいられない私なのでありました。
やっぱり、天童荒太さんってすごい!!!
 
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[2008/04/11 23:10] 書籍 | TB(0) | CM(0)

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